尊富士の活躍からケガを考える

桜が咲き始め春を感じる陽気となりましたがいかがお過ごしでしょうか?

スタッフの金子です。

とはいえ寒の戻りもまだまだあり、寒暖差で調子を崩しやすかったり慢性痛の肩こりや腰痛が強くなったりしますので油断はできません。

羽織るもので衣服の着脱を行ったり、起床時に固まりやすい身体のストレッチを行うなどして季節の変わり目を乗り越えていただきたいです。

そんな今年の春は素敵な話題がスポーツでありましたね。

大相撲では尊富士関が110年ぶりに新入幕として優勝を決め、高校野球では健大高崎が群馬県勢として初の春のセンバツ優勝と歴史的な年となりました。

 

オリンピックイヤーでもある今年はスポーツ熱が高まりそうですね!

 

ところで当院では部活動で頑張る学生さんのケガの来院が増えています。

尊富士関は大阪場所の14日目、右足にケガをして休場の可能性もありましたが千秋楽ではケガを押して出場。

勝利を飾り歴史的な快挙を成し遂げました。

優勝や記録を目の前にして私自身その立場になったら挑戦するとは思いますが、基本的にはスポーツをする上で大事なのはケガをしない事と考えています。

本来のパフォーマンスを十分に出すためにもスポーツをする前にケガをしないための準備(予防)が重要です。

今回はそんなケガの予防についてお話していきたいと思います。


【予防をしていくために】

スポーツのケガには

・衝突や転倒のように1回で起こるケガ(スポーツ外傷)
繰り返しの動作(ランニング・ジャンプ等)からくる慢性的な痛み(スポーツ障害)

の2つに大きく分けられます。

スポーツや運動は、健康増進や発育発達の促進、競技力向上をもたらします。

ところが、筋力不足や柔軟性が低下した状態で過度な運動をすると筋肉や関節に疲労を蓄積させ痛みが出るのです。

筋肉が運動をするために必要なウォーミングアップが不十分であったり、運動後に疲労回復のためにクールダウンがされていないと、疲労が残るばかりか痛みやケガの原因となるのです。

予防のためにはまず、ケガの発生要因を知ることから始まります。

【ケガの発生要因と予防対策】

大きく分けて5つの要因が挙げられます。

①筋力低下

②筋肉の柔軟性低下

③肥満

④関節不安定性

⑤骨の形態(アライメント)


①筋力低下

筋力は運動の動力源であり、関節を動かす、体重を支える、外力に対抗する、動きを調整するなどの役割を果たしています。

筋力が弱いと運動を行う上で支障をきたすことになります。

練習を休むとつけた筋力がすぐに弱くなるため、休み明けやケガの回復のすぐ後に元の練習メニューを再開したりすると、ケガをした箇所や関節周辺(特に膝関節など)は負担がかかりやすくケガの可能性も高くなるので注意が必要です。

○予防対策の例…筋力トレーニング


②筋肉の柔軟性低下

筋肉は疲労やケガで傷めたりすると柔軟性が低下します。

そうすると血行の循環が悪くなり、痛みにつながるのです。

また、筋肉の伸び縮みが悪くなり関節の動く範囲が狭くなることがあります。

筋肉の柔軟性が低下している場合、ストレッチングや温熱療法、ウォーミングアップ、クールダウンの徹底で柔軟性を回復させる必要があります。

クールダウンはおろそかになりがちですが、軽く身体を動かしただけで終わりにしてしまうと疲労が蓄積されたままなので、

下半身を使った運動の場合…ジョギングやウォーキング
上半身…キャッチボールや鉄棒のぶら下がり

などで身体を動かした後ストレッチングをする。

クールダウンとストレッチの2つセットを基本として考えるとよいでしょう。

○予防対策の例…ウォーミングアップ、クールダウン、ストレッチング、十分な休息


③肥満

当然ですが体重が多い=肥満ではありません。

筋力以上に脂肪を過度に蓄積させれば運動能力も落ちる上、下半身の筋力・関節に負担をかけてケガの原因となります。

体重による関節への負担が軽度で脂肪を燃やす効果の高い運動

・水中ウォーキング
・自転車ペダリング

で脂肪を減らしながら身体を支える役割を持つ大腿四頭筋(太もも)を鍛えましょう。

減量よりも脂肪燃焼を重視し、筋肉減少を防ぐことが大切です。

○予防対策の例…食生活(栄養バランス)の見直し、脂肪燃焼の運動


④関節不安定性

関節の動く範囲が必要以上に大きく幅広い場合もケガの原因につながります。

これは柔軟性があるのではなく関節がゆるく不安定な状態です。

・体質的な先天性のもの(女性は特に関節がゆるい傾向)
・捻挫や脱臼、靭帯損傷から生じてしまう後天性のもの

があり、どちらも関節周囲の筋力強化が必要です。

また、ケガをした時には適切な応急処置とその後のリハビリをしっかり行う事が重要です。

○予防対策の例…筋力トレーニング、応急処置、(※)テーピングとリハビリ

※自己判断ではなく整骨院等専門知識のある機関での対処が必要


⑤骨の形態(アライメント)

O脚、X脚と言えばわかりやすいかと思います。

特に日本人はO脚が多いと言われていて、程度の差はあれど骨の彎曲(わんきょく)やねじれが強い傾向にあるため、筋肉や関節に負担がかかりやすいです。

先天性によるものがほとんどのため、意識しないままランニングなどの繰り返しの動作を続けているとケガを起こしやすいです。

O脚の人はランニングの際、足の外側から着地することが多く、膝の外側を痛めるケースが見受けられます。

通常の歩行でも靴底の外側が減りやすいため、

更に足が外側へ傾く→彎曲が大きくなる→ケガしやすい状態になるのです。

普段から靴底を確認して減り方には気を配るといいでしょう。

○予防対策の例…自身の骨形態(O脚・X脚)の確認、疲労回復、靴底の確認、ストレッチ


【まとめ】

①から⑤までのまとめとして、ケガをしない身体作りの基本は日常の自己管理からと言えます。

やみくもに鍛えれば強靭な身体が手に入る、というわけではありません。

基礎体力強化の運動やウォーミングアップ、クールダウン、入浴と睡眠をゆっくりとるなどして体調を万全な体制に整えることが大事です。

大会などがある場合、無理な練習でケガをして肝心の本番を迎えられないのはもったいない事です。

学生さんは入学、新学年になったことで部活動を中心に運動量が増すためケガに注意しましょう。

 

避けられるリスクはしっかり対策をする、不意のトラブルでケガをしてしまった際には速やかに専門知識を持った機関を受診し早急に治療しましょう。

 

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